苦労とは、ほかならぬ狭さにある。統計ではあらわれていないが、昭和五十九年の夏にパリとロンドンの友人のアパートを訪れてその実際を見てきたのだが、実に広いのに驚いた。いずれも2LDKで大体六十平方メートルの広さ、家賃も統計どおりの十二、三万円になる。ともに都心からの位置感覚がわからないが(東京でも新宿からか、渋谷あるいは大手町か池袋と、勤め先によってどこが都心か限定できない)、ま、たぶん中野か荻窪あたりだろうか。
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とにかく広いのである。東京の私の友人のマンションの2LDKに比べて広い。ためしに東京の友人に平面図を借りて計ったら、なんとこれも五十八平方メートルで、パリやロンドンの2LDKと変わらないのだ。ところが狭い、むしろ狭苦しい。私が感ずるとおり奥さんの苦情も激しい。反面、パリのマダムも、ロンドンのミセスも、にこにこ顔ですっきり。一体これはどうしたというのだ。ご主人も技術者や建築士で、収入も日本の友人とほぼ同じ、子供も一人二人でまあ似たようなもの、趣味も三組とも悪くない。しかし日本の彼の家は狭苦しい。