階段は、いつも1人で昇り降りするものとはかぎらない。2人並んで昇ることもある。狭い階段に一直線では、まるでアリの行列だ。2人がいっしょに昇ったり、降りたりするならまだいいが、すれ違うこともある。70センチ幅では、とてもではないがすれ違うことなどできはしない。やむなく、片方が1階か2階で待つ。気づまりな雰囲気が生まれるケースだってあるだろう。私が以前から考えていたことだが、階段というのはかなり劇的な空間である。
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階段でのすれ違いはとくにドラマティックだ。映画のシーンにもよくあるではないか。1人が下から上っていく。1人は上から降りてくる。そして、すれ違いざまに目を合わせる。その一瞬の何気ない会話。すれ違いざまだからこそ、かけやすい言葉があり、さりげないやりとりがある。家族の会話、とくに父と子の会話などは、「オッ、オハヨッー」の2言だ。案外、こういうところに本領があるのではないかとさえ思うのだ。そのためにも、階段の幅は、できれば1メートルはほしい。最低でも、内法で90センチあれば、父親と高校生の息子でもなんとかすれ違い、声をかけ合う劇的ゾーンが期待できる。