実は今では日本でも、日本的洋風の生活をする以上、家は家具なしでは用をなさないのだが、家具を必要としなかった時代の家具観、住居観がまだ影響を残していて、家と家具とを別々にとらえる感覚が支配的なのが現状である。このような感覚は、財政的に豊かな人でも基本的に変わらない。これは例外もあると言っておかないとさしさわりがあるが、億に近い費用を住宅に費やした人が、家具を入れる段になると数十万の値段の差を気にしてセカンド・チョイスに決めるという例が少なくないのだ。
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もちろんお金もあり社会的地位もある人は、体面上、安物は買わない。そういう場合に住み手がこだわるのは材質の高級感であって、椅子は本革張り、テーブルは大理石というふうな選択はするが、その条件が整えば後は何でも良いという傾向に陥りやすい。そこには、見映えが良ければ安いにこしたことはない、というコスト・パフォーマンスの思想だけが働き、自分の人格の表現として選ぶという執着は一般的に薄いようだ。